磯釣りを始めてみようというあなたへ

乗船と渡礁

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 磯釣りの中で緊張する瞬間で危険がつきまとう場面です。


準備は早めに
 乗船までは釣りの準備に手間取ってモタモタしていると船を待たせることになりますので、てきぱきと準備を完了しておきます。
 もし、遅刻などして出船時間に間に合わないと思ったときは、迷わず2番船に乗ることを係員に伝えましょう。
 (*地域によっては朝一度しか出船しない釣り場もありますので、早めの到着早めの準備が肝心です。)
 他の方にも気分良く釣りをしていただくことも釣りマナーの一つです。

忘れ物はしないように。
 一度海に出たら釣りの終了まで戻れません。
 所持品をきちんと確認しましょう。
 
船長さんや係員の指示、命令は絶対です。
 船長さんや係員は乗客の安全を守る義務があります。
 指示や命令は素直に速やかに従いましょう。

 乗船する前に受付があるならば到着の旨を告げ、係員に弁当の注文をします。
 最終時刻も確認しておきます。


 以前とある渡船で、早朝の混雑時に少し遅刻気味のお客さんの乗船を待っている時がありました。
 それに対して文句を言った方がいらっしゃいました。
 「遅いヤツは待たんでええやん! 船長さん、早よ行こっ!」
 この自分勝手な言動に、こっちが聞いていてもあきれ果てましたし、乗り合わせた人達も会話をやめてあきれ顔をしていました。

 船長さんは、
 「乗っていらんから帰れ!!」
 と、どなってその釣り客を帰してしまいました。
 乗船、渡礁の際の指示は必ず守って下さい。





乗船
 朝まだ明けやらぬ港でおおぜいの釣り客といっしょに船に乗ることから始めます。
 必ず係員の指示に従って乗船を開始します。
 他の釣り客の方々はその日の釣果を胸に抱いてはやる気持ちを抑えて出船を待っています。
 乗船したらデッキに荷物を順序よく転倒しないように並べ、後部デッキへと移動し、次の方々が乗船するスペースを空けるように心がけます。
 よく、後ろが空いているのにデッキの通路に陣取って話をしている方々を見かけます。
 次々と乗船してくる方々の迷惑となりますので、順序よく後部へと移動することを心がけましょう。

 船が出船したら座るか何かに掴まっておきましょう。
 湾内から外海へ出ると急に揺れが大きくなったりするものです。
 怖がって何かに掴まることは決して恥ずかしいことではありません。
 安全が第一です。


渡礁

 危険を伴う瞬間です。
 自分の順番が来て渡礁の指示を出されたら、荷物を船首付近に運んで用意をします。
 磯が近づいてきても決して立ち上がってはいけません。
 船長さんから磯が見えなくなるばかりではなく、船が磯にぶつかったときの衝撃に備えて身を低くして渡礁の瞬間を待ちます。
 
 渡礁が始まったらすぐに磯へと飛び渡ります。
 西日本の渡船は船首をぴったりと付けて磯付けしてくれますが、関東の釣り場などでは付けてもらえないところが多々あります。
 船が波に揺れる瞬間を見計らって磯に飛び渡ります。
 一般的には船の船首が一番上がったときに飛ぶのが安全です。

 磯付けしてしてもらえる渡船でも決して船と磯とをまたいで立ってはいけません。
 いつ船が動くかわかりませんし、落水の危険があります。
 いずれの場合でも荷物を持って移るのが難しいと判断したり自信の無い時は、係員か他の乗客に荷物を任せ、空身で渡って下さい。

 渡礁が終わったらその場でぐずぐずせずに荷物を安全な高場まで移動させます。
 落ち着いたら磯の周囲を見渡して波の様子や地形を観察しましょう。
 不意の高波が来た場合に身を避けるために逃げ場やルートを覚えておきます。


撤収時

 天候の急変によって磯からの撤収を余儀なくされる場合があります。
 海での天候の変化はあっという間に変わることが多くあり、場合によっては遭難などで人命を失うことにもつながってしまいます。
 天候(風向き、雲の流れ)には常に気を配るように心がけましょう。
 また、天候には何ら変化が無くても遠方の地によって発生した地震、南方海上で発生した台風などで、沿岸に津波、波浪警報が出されるときがあります。

 船がやってきて撤収を告げた場合速やかに釣りをやめて道具を片づけ乗船します。
 撤収時にはたいてい波や天候の変化に一番弱い低く小さな磯から始まります。
 自分がその磯に上がっているときは、道具などは船の上で片づける心づもりでてきぱきと乗船します。
 自分の行動の遅れが他の人の救助も遅れるということを肝に銘じて下さい。

 既に天候の変化により波が強くなってしまった場合でも焦らずに船の指示に従いましょう。
 たいてい船に飛び移ることになるのですが、まず最初に道具を船に放り込み、それから人間が単身で移ります。
 道具が破損するからと持ったまま移ろうとするのは危険です。
 道具は破損してもまた購入できますが、人間はそういうわけにはいきません。

 飛び移りのタイミングは他の人の指示より、自分の判断で行動するのがベストです。
 よく回りの人が「飛べ!飛べ!」と声をかけますが、意識しすぎて落水しかねないです。
 時間はかかっても船の動きを見ながら、一瞬の間合いを捉えて自分の判断で飛び移った方が安全です。

 大荒れになると一つの磯での撤収に30分以上かかったりする場合もあります。



余談:
 三重県熊野へ釣り仲間と3人で釣行したとき、太平洋に台風が発生していました。
 その日は午後からうねりがきつくなるだろうということで午前中だけの釣りでしたが、昼に船が迎えに来たときは既に磯付けもままならない状況になっていました。
 仲間1人が先に船に飛び込み荷物を受け取り、それから波の間合いを見計らって残り私ともう1人順々に高場から船へダイブ。
 3人の回収に20分ほどかかってしまいました。

 他の磯のお客さんも時間をかけて回収し、無事に港に着いてから渡船店のご厚意により仲間1人が釣った魚を調理していただいてお昼をごちそうになりました。
 渡船店の常連さん数人となごやかに会話が弾みました。
 私    :「いや~、海が荒れたときの船への飛び移りは何度やっても怖いもんですねえ~。(*。*)」
 常連さんA:「うん、ワシも慣れることないわ。(>ω<)」
 常連さんB:「それでええねん。 怖いと思わんようになったら死ぬよ。(-.-;)y-~~~」
 常連さんA:「せやな、何回やっても怖いもんは怖いわな。(^○^)」

 この会話はずっと昔のことですが今でも鮮明に思い出します。
 船への乗り降りは怖いと感じることは普通です。


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