その二、遅刻
私の乗っている車はミニバン。
キャンピング仕様車で三列目シートは常時簡易ベッドにしている。
広い空間で体を伸ばして悠々と寝ることができる。
深夜に自宅を出て一路ホームグランドの南紀の磯へ。
予定通りの時刻、深夜2時過ぎに港の駐車場へ到着。
出船時間は明け方6時。
まだ寒くない気候なので車のエンジンは止め、港の外灯が車内に入って来るのでカーテンを閉めてベッドで毛布にくるまって一時の休息を取った....
はっ!と目が覚める。
「え!? 今何時??」
時計を見ると7時過ぎ。
カーテンをめくり上げるとすっかり夜は明けてしまって朝の港の風景。
あわててベッドからはい出して桟橋の方を見ると...いつも乗せていただいている船は無い。
「しまった~、2番船か~(T_T)」とつぶやいてそそくさと支度をして桟橋で船が帰ってくるのを待った。
ものの10分もしないうちに見慣れた船が港に入ってきた。
桟橋に近づいた船の操舵室から顔なじみの渡船屋のおじさんの顔が見える。
....なんだか、むっとしてる....
船が桟橋に近づいたときに操舵室の窓が開いて、船長さんの顔が飛び出した。
「まだ、おったんか~!! もう上がる磯無いど~~!!(▼、▼メ)」
スミマセン、スミマセンと謝りながら船に乗り込んで、操舵室の船長さんに頭を下げる。
船長さん開口一番、この船は三番船とのこと.......\(●o○;)ノ
とにかくどこでもいいから釣りが出来るところに上げてほしいと頼みこむ。
船はしずしずと港を離れてものの3分もしないうちに港の出口の岩場に船を着けた。
たった一人の遅刻者のために燃料を使わないといけないので不満だったが文句は言えない。
この日一日は波のない、潮の流れの無い、水たまりのような海でエサ取りとたわむれることとなった。
夕方、お客さんの回収が始まる。
私の釣り場は港から近いので後回し。
1番船、ぎゅうぎゅう詰めで船が帰ってきた・・・もちろん乗れないので後回し。
2番船、またもや船はお客さんであふれかえっている。
「こりゃ、本当に上がる磯は無いわ」と独り言。
3番船が出て行って太陽が水平線に沈もうとしている時にようやく私の立つ磯に船が着いてくれた。