その五、終了時刻
沖磯の乗船時間は渡船店によりまちまちです。
複数の渡船店が乗り合いしているエリアでは渡礁時間が定まっていて、時刻になるとよーいどん!で一斉に磯付けが始まります。
単独の渡船店のエリアでは夜明け前の渡礁が一般的で、季節により時刻が変化したりします。
差はありますがたいてい朝一番の乗船と相場が決まってます。
終了時刻もまたまちまちです。
通常は夕方日暮れ前の回収と思いがちなのですが、地場の漁業組合との兼ね合いや、渡船収益確保のため、午後2時で一旦打ち切って回収という渡船店も少なくありません。
収益確保目的の渡船店は、その後夕方まで「延長料金」を加算して払えば夕方まで釣らせてもらえるところもあります。
何度か沖磯の渡礁を経験してきた私は、とある磯に初めて行きました。
その日は、帰宅した後に家族と会食する約束をして出てきていました。
まだその頃は知人に連れられて決まった渡船店に通っていて、そこは午後2時の終了と決まっていました。
当時の私は、どこの磯も午後2時が終了時刻と変に思い込んでいましたので、同じようにその渡船店も午後2時までだと決めつけていたのでした。
何も考えずに船に乗り込んで釣りを楽しみます。
弁当船が午前中に来て帰って行きました。
それから、午後2時。
船が見えてから竿を片付けてもいいかと、周辺の余分な道具だけバッグにしまい釣りを続けます。
それまで釣りをする気持ちでしたから、撒き餌を撒き尽くしてありません。
刺し餌のみで糸を垂れます。
いつまでたっても船の姿は見えません。
内心ではすごく焦っています。
刺し餌だけですからエサ取りの小魚ぐらいしか釣れなくて手持ちぶさた。
漁港の方角、沖の水平線を眺めてため息が出ます。
「弁当船の時に終了時間を言えば良かったのに・・・」
独り言が出てしまいます。
船がやってきたのは夕方日没間際。
港に着いてから携帯で家族に電話します。
「手違いで帰りが遅くなる。すまないが今夜の食事は次の機会に。ゴメンナサイ。m(_ _;)m」
電話の向こう側の相方の反応が急変!(ノД`)・゚・
ゴメンゴメンと謝ることしばし。
間の悪いことにその日は連休の間の日。
時速100mという大混雑を初めて体験したぐらいの大渋滞。
普通、2時間ほどで帰宅できる道のりが、自宅に着いたのは深夜になっていました。
翌日、何も言わずに家族に、想定予算以上のご馳走を振る舞ったのは言うまでもありません。(;´д`)トホホ