ウキの役割

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4.水中に浮くウキとは

 今までの文中でも何カ所か出てきた「水中に浮くウキ」「水中を漂うウキ」、そんな物が果たして有るのでしょうか?
 天狗ウキの宣伝文句でもこの言葉がしばしば使用されているが、言葉通りに受け止めて釣り場で使ってみるとそういうウキではないことに気づかされて戸惑ってしまうになる。
 「え?俺のテクニックの問題?」「使い方間違ってる??」と思ってしまい、使い方の試行錯誤で泥沼にはまっている人も少なからずいると思います。
 今から使う人も上の言葉を文字通りに解釈したら恐らくその通りに扱えずに終わってしまうでしょう。


  ここで天狗ウキとディセターの形状を横から見てください。
 ウキの底辺がほぼフラットになっているのがわかります。



 なぜこのような形状になっているのか?
 前後左右・上下からウキを眺めるとどの面も面積が大きく、どの方向からも潮流の影響を受けやすい形となっているが、特に底辺に限ってはほぼ平らになっており、特に水の抵抗を受け止めやすくなっているのがわかります。




 上の図を見てください。
 ウキが沈んでいく際に受ける水の抵抗を想像してみた物です。
 図のように極めて大きな抵抗が生じると思われます。
 読者の頭の中で、市販のドングリウキが受け止める抵抗を想像してみて比較してみてください。
 天狗ウキの方がはるかに抵抗を受け止めることは容易に想像できると思います。




 上の図は仮に同じ比重のドングリウキと天狗ウキを同じ条件で使用したと想定して、沈め探り釣りを行った場合の想像図です。

 底辺の抵抗の少ないドングリウキがある一定の水深に達した時、 天狗ウキは抵抗が大きいため潜行の深度はドングリウキよりゆっくりとしたスピードで沈んでいくはずです。

 ある一定の水深に長時間滞在するということは、あたかも水中に浮いているように見えるはずです。
 これが「水中を漂うウキ」と呼ぶゆえんです。

 つまり、天狗ウキやディセターは水中に浮くウキではなく、極めて沈下速度の遅いウキと言ってもいいでしょう。

 しかも、天狗ウキやディセターは市販のドングリウキよりも細かく比重が設定されており、番号を変えてウキをチェンジすることにより、この沈下速度を微妙に変えることが可能となっています。
 流速や海の条件に合わせて沈下速度を速くしたり遅くしたりすることが可能なのです

 このようなウキの沈下速度を極めて遅くすることは、市販のドングリウキでは可能でしょうか?
 それを行うためには仕掛けに付けるオモリを微妙に調整しないといけなくなります。


 沈下速度を調整できる最大のメリットは魚が捕食する範囲=タナでの刺し餌の滞在時間を長く取れるということです。
 
 また、撒き餌の沈下速度にあわせて仕掛けも沈下させていくことが可能となり、撒き餌と刺し餌の同調が行いやすく、長時間撒き餌との同調が可能となります。





 なぜ天狗ウキやディセターはカン付きなのでしょうか?
 ウキを頻繁に交換するため交換しやすいというのも1つですが、実際には水中でのウキの姿勢にあります。
 ラインの角度によってウキの姿勢も変化するドングリウキに比べて、天狗ウキやディセターはラインの影響を受けにくく、姿勢が非常に安定しています。
 姿勢の安定は潮流や水の抵抗を一定の条件で受け止めてくれるということにつながるからです。


 ラインの角度が変わってもウキの姿勢が変わらない。

 
 *デメリット
 天狗ウキやディセターはメリットばかりあるのではありません。
 水中に漂う状態というのは流速が早い釣り場などでは目に見えてよくわかります。
 では、私たちがふだん通っている潮流の遅い釣り場ではどうかというと、デメリットがモロに現れてきます。
 
 1.流れの影響を受けやすい。
 潮流や水の抵抗を受けやすい形状はともすれば不必要な流れの影響も受けやすいということです。
 サラシによる払い出しの流れ・強風によって出来た表層の流れなど。
 潮流が遅い釣り場ではウキが理想的な潮の流れを捉える前にこういった別の影響により仕掛け全体がポイントから離されてしまうことになります。

 2.仕掛けのなじみ。
 餌取りが多くいるような状況では目的のタナへいち早く刺し餌を持って行く必要があります。
 そのような時に比重の大きいウキを使って強制的に仕掛けを運ぶのですが、どうしてもウキ先行になりがちになり、アタリの伝達が悪くなります。
 仕掛けのなじみを待っている間に餌取りに餌をかすめ取られてしまうなどよくあることです。


 こういったデメリットはライン操作や幾つかのアイテムを使うことでなんとか解消することができます。
 それについてはまた別の章で。

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