テクニック

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ウキの選択

 実釣に入る前に多くの種類のウキの中からどのサイズのどの番号を装着するかを選択します。
 私の場合通常32φの5番か6番から開始します。
 もちろん開始するのが天狗ウキ24φ1番であったりディセター36φ10番であってもかまいません。
 磯に渡って撒き餌一投目で磯際に良型の魚が見えれば、天狗ウキ24φ1番から開始することなどあります。
 要は個々がその日の海の状態を把握できる物を選べばいいのです。
 
 海を含む釣り場の環境は常に一定ではありませんし、狙いを定めるポイントによって最初に装着するウキが異なるのは当然なのです。
 海水の温度や塩分濃度、潮流の早さや風の強さによって異なる微妙な違いを把握することで、その日その状況でのウキの番号選びを決定していきます。
 このように、最初に用いて海の状況を把握するためのウキの事を「パイロットウキ(パイロットフロート)」と呼んでいます。


 その日の海の状況が自分なりに把握できたら、次に自分のイメージとする流し方をするためにウキのサイズや番号を替えていきます。
 魚の活性が良いと判断できてウキ下重量が大きいため沈み気味だなと思えば比重の軽いウキ(番号の大きいウキ)に替えたり、潜行させて使用したいなと思えば比重の大きいウキ(番号の小さなウキ)に替えれば良いのです。
 このようにして魚が補食するであろう理想的な流し方を見つけるために、次々とウキをチェンジして仕掛けを変更していくことを「ウキローテーション」と呼んでいます。

 先にも書いたように海は常に一定でなく変化を続けていますから、魚が1匹釣れたからと言ってその日のベストのウキ選択とは言い切れません。
 海の変化、魚の活性に合わせてウキをローテーションさせることで常に仕掛けを変化させていきます。 忙しい釣りです。(;^_^A
 また、潮流の速度、ラインが出て行く時の抵抗、潜行スピードなどによってもウキの選択が異なってきます。



 次に様々なケースでのウキの選び方を書いてみます。

1.遠投
 例えば磯から50m沖のシモリへで遠投してピンポイントを狙うためにはどうするでしょう。
 重量の軽いウキではあまり遠くへは飛びません。
 ウキを重量のある大きなサイズの物に変更することで飛距離を稼ぐことができます。

 天狗ウキ40φ45φなどは離島などの本流釣りによく用いられるサイズですが、近場の釣り場で遠投用として使用しても別にかまわないのです。
 また、近距離で大きなウキを使ってはいけないかというとそうではありません。
 仕掛けの操作に支障が無く、魚が釣れるのであれば全く問題無いでしょう。
 視認性も良いです。
 その場その場の状況に応じていればどのように使用しても良いと思います。


2.磯際
 外洋に面した磯では磯際には必ずと言っていいほどサラシがあります。
 またサラシが無くても波の払い出しにより表層が複雑な流れとなっていることが多いです。
 この払い出しの流れにサイズの大きなウキを付けた仕掛けを入れたらどうなるでしょう。
 表面積の大きなウキでは流れに反応しやすく、仕掛けを沖へと運んでしまうこととなります。

 そこでウキの表面積を小さな物に変えることで仕掛けを出来るだけ磯際から離れないようにさせます。 注:決して影響を受けないわけではありません。
 天狗ウキには磯際専用のウキとして20φというサイズがありました。
 また、「T2」という磯際専用のウキも販売されています。注:現在は生産中止、市中在庫のみ存在しています。
 現在では上記のウキは入手しにくいので、自分が持っている一番小さいサイズのウキを使用するしかありません。
 ちょっと残念ですね。

 注意していただきたいのは小さなウキを使用したから磯際から決して離れないというわけではありません。
 払い出しの流れが強い時はどのようなウキを使用しても影響を受けてしまいます。
 釣り人が仕掛けを操作しやすいようにし、流れの影響を出来るだけ小さくするためのウキローテーションなのです。
 
{作者の本音}:磯際はあまり天狗ウキやディセター使いたくないです。 仕掛けが磯に絡みやすいのでウキロストの第一原因ですし、流れに敏感すぎるので使いにくいです。 市販のドングリウキへの仕掛け変更が面倒なのでそのまま使っちゃいますけどね。('◇')ゞ


3.潮乗り
 釣りを行っていると決まったポイントに仕掛けをトレースさせたいと思うことがあります。
 よく魚が釣れるシモリの上だったり潮の合流点だったり。
 ピンポイントに仕掛けを効率よく運ぶ必要性が出てきます。
 ところが潮流のスピードによってはライン操作だけではスムーズにいかない場合があります。
 ラインの抵抗が障害になったり、微妙な流れの変化で潮乗りが悪くなったりします。
 そんな時にウキを替えて潮乗りをよくしてやります。

 一例を挙げると・・・
 28φでちょうど良い感じでピンポイントにウキを流すことができています。
 やがて流れが遅くなり28φではラインを引っ張りきれず、ポイントからはずれるようになってきたので、32φへとチェンジします。
 それでも、まだ力が足りないと感じたら36φへとチェンジして良い感じにします・・・
     

 このようにウキの大きさを替えることで流れの影響をより多く受け止めるための場合のウキローテーションです。


4.風
 風が強くなってくるとラインが風の影響を受けて流されたり、表層の流れが本来の潮の流れと異なったりして仕掛けが思うようにポイントに流れていかない場合があります。
 そのような時は潮乗りの良いウキに変更して本来の潮の流れを掴みやすくし、風が引き戻す力に負けないようにします。

  

 風の影響でラインが引かれたり、表層の流れが本来の流れの速さより遅くなったりするため、ウキを大きくして本来の流れを掴みやすくする。

 この方法を応用した操作でわざと風にラインをはらませて、潮流の力を相殺させる方法もあります。



 ウキが潮に乗って流されていこうとするのを、風の力を利用して1カ所に止めておく方法でピンポイントに長時間仕掛けをとどめておくことが出来ます。

 32φでちょうど良かった状況で、風が少し強くなりピンポイントから外れるようになれば36φへ。
 36φでも外れるようになれば40φへとローテーションさせ、また風が強くなれば小さなサイズへと戻していきます。
 このように、潮流だけでなく風などの自然環境に応じたウキローテーションも必要です。


5.複雑な流れ
 磯の周辺では絶えず複雑な流れが磯を取り巻いています。
 特に磯際は仕掛けを流すために障害となる流れが多く存在します。
 本流などでは流速が早く力が強い分、障害となる流れも強い力を持っています。
 水面をはわせた道糸がこの障害となる流れの影響を受けてしまい、仕掛けを理想的に流す障害となる場合があります。



 小さいサイズですと潮受けが小さいため本来の流れを受け止める力が弱く、道糸が引っ張られる力に負けてしまうことがあります。
 そこで、大きいサイズのウキを付けることで複雑な流れに負けないよう仕掛け全体を引っ張る役割を果たします。
 本流釣りなどで40φや45φなどの大きいサイズのウキを使うのはこれが原因となっているからです。



 以上で参考となるウキローテーションの例を幾つか挙げてみましたが、忘れないでいただきたいのは、ウキの選択は状況に合わせて臨機応変そのときそのときに見合った最良の物を選ぶことを念頭に置いてください。

  

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