テクニック

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5.ライン操作

 現在の磯の「フカセ釣り」は撒き餌を海に撒き、魚をおびき寄せて釣ることが主流です。
 しかし、このフカセ釣りは撒き餌を一点に集中させて釣るというだけでなく、撒き餌が潮流に流されていくのに合わせて仕掛けも流していくという行動を伴います。
 筏のかかり釣りや紀州釣りなどがポイントを一点に集中させて釣る(もちろん流すこともあるのですが)ことが主目的なのに対し、フカセ釣りは海の流れに合わせて魚が餌を食べる場所まで付け餌を流していく行動が大半を占めるようになってきました。
 
 仕掛けを流れに合わせてスムーズに流すためには単に糸を出していくというだけでなく、障害となる払い出しの流れや風などの影響を避けながら流していく必要があります。
 「ラインメンディング」と呼んでいるこの行動はフカセ釣りにとって必要不可欠な行動です。

 従来の目でアタリを取る仕掛けでは糸ふけやラインのたわみなどはあまり気になりませんでした。
 ところが、沈め探り釣りという技法が広まるにつれ、竿先や糸の変化でもアタリを取るようになり、余分な糸ふけやラインのたわみが障害になるようになってきたのです。
 天狗ウキやディセターを利用した釣りも仕掛け全体を潜行させていく機会が多いため、ライン操作に一工夫をこらすことにより、余分な流れや風の影響をできるだけ回避するテクニックが必要になります。




波に合わせる
 海には絶え間ない波があります。
 磯に立つと上にせり上がってくる寄せ波と,下に引っ張られる引き波です。
 もし、竿を持つ角度を一定にしていたらどうなるでしょうか。
 引き波の時にラインは引っ張られ仕掛けが戻り舞い上がってしまいます。
 寄せ波の時にはラインがたるんでしまいます。
 これを防ぐために次の操作を行います。


 引き波の時はラインを出してやるか竿を下げて糸を送ってやる。


 寄せ波の時はラインを巻き取るか竿を上げて回収してやる。

 ここで勘違いしないでいただきたいのは,ラインにテンションを掛け続けるのではありません。
 「張らず緩めず」の感覚でウキから先の仕掛けに余分なテンションをかけずに無駄な力や余分なラインを無くすことが肝心です。


糸を出す
 磯釣りでは仕掛けを潮に乗せて魚のいる場所へと流していくためには、仕掛けの流れる早さに合わせてリールからどんどんラインを出していかなければなりません。 
 ただリールのベールをフリーにして放っておくと,糸ふけが多くできてしまいアタリが不鮮明になりがちです。
 そこでベールをフリーにした状態で,指でスプロール(糸巻き)の縁を軽く押さえ,テンションがかかればパラパラとラインを出していきます。
 ラインが出過ぎた場合は巻き取ってしまいます。


道糸が風に流されたとき
 風が強く,道糸だけが風にあおられ全く別の方向へ流されてしまうことが多々あります。
 流された道糸は円を描くようにたわんでしまい,アタリを明確に伝える事ができなくなってしまいます。
 そこで,流された糸を修正してやる操作が必要です。


 風によって道糸が流されてしまう。


 竿を持ち上げゆっくりと道糸を戻してやる。

 この時の注意は竿を持ち上げ道糸を修正するときに,ゆっくりと行うことです。
 急激な動作は仕掛け全体にテンションを加えることになり,ポイントをはずしてしまう結果となるからです。
 注:この操作はセブンアイランズより発売のビデオで詳しく説明されております。

 しかし、潮流の遅い釣り場ではウキがしっかりと潮流を捉えてくれないことがままあります。
 そんなときは仕掛けを回収して投入し直すのが一番です。



 上記の基本的な事柄を踏まえて実釣に入っていきます。
 上の説明ではラインにテンションをかけないように書いていますが実際にはどうでしょうか。
 ケースに応じてテンションを強くかけたり、全くかけなかったり複合的に操作します。

 磯際(足下)
 磯際は波による払い出しの流れ、磯へと吸い込まれる流れなどが複雑に存在しています。
 ただ単に波の上下に合わせるだけでなく、仕掛けを磯際周囲に止めておくライン操作が必要になります。
 本来磯際での仕掛け投入は波の間隙を縫って払い出しの力が弱まった頃を見計らって投入し、吸い込む流れに仕掛けが乗るようにします。

 しかし、吸い込む流れを捉えられなかった時、磯際に浮かべたウキは仕掛けがなじむ前にサラシなどの力で沖へと出て行こうとします。
 そこで、ラインに強くテンションをかけたりゆるめたりして磯際に止めておきます。
 やがて仕掛けがなじみ吸い込む流れを捉えたらウキに任せて潜行させていきます。

 ウキが潜行してからも海面上の道糸は絶えず払い出しにもまれますので、磯に絡んだり、不用意に沖に出たりしないように細かな操作をしていきます。



{作者の本音}:
 前にも書きましたが磯際ではウキをはずしてオモリを付けて仕掛けを投入しちゃったりします。
 その方が波に強いです。
 よく海を観察してから吸い込む流れらしき部分に投入します。



 磯際(少し離れたところ)
 足下ではなく足場より少し離れた場所での磯際では、絶えず道糸の修正が必要になります。
 磯にラインがからまないようにするため、仕掛けを投入したあと払い出しの流れに道糸を乗せて少し沖へと出してやったりもします。
 私がよく行く釣り場では下の図のような形状の磯があります。



 釣り座から少し離れていて仕掛けをポイントに放り込んでからラインの操作を行わないといけないポイントです。
 満潮時に波がかぶり、磯へ引きつける力と払い出す力が交互にやってきて非常に釣りにくいのですが、磯の下部がオーバーハングになっていて良型が潜んでいることが多いのです。 磯際に仕掛けを投入したあと、仕掛けが磯の上に乗りそうなときは沖へと戻してやり、沖へ出て行くときは磯際に近づけるようにラインを操作させます。
 そして仕掛けがなじみ、ちょうど良くなれば道糸が磯に絡まないように払い出しに乗せて少し沖側にはわせていきます。
 はわせた道糸はどんどん沖へ出て行こうとして仕掛けを引っ張りますので持ち上げて元の位置に戻す操作を行います。

 磯際の波に引かれるときウキが磯の上に乗り上げようとします。
 こんなときはラインに強くテンションをかけて巻き込まれないように工夫します。
 同じ位置を保つためにラインにかけるテンションの強さは状況に合わせて細やかな操作が必要とされます。
 ポイントとする磯際が釣り位置から遠ければ遠いほどライン操作はやりにくく、限界が生じてきますができる限り理想的に仕掛けがとどまるよう工夫して操作をします。 
 正直言って難しいですがハマればムフフです。
 

 
 沖のポイントはウキに任せて糸を出しながらただ流していけばいいのか?
 一直線の流れで妨げになるような流れも無く風も無いようならばそれでも良いかもしれません。
 ところが磯を取り巻く海の環境は仕掛けの進行を妨げるいろんな要素が絡み合っています。
 そこで、沖のポイントを攻略するときもラインメンディングは重要となってきます。



 払い出し
 磯際に押し寄せる波は払い出しとなって様々な方向へ流れます。
 波が強いときははるか沖まで影響を及ぼし、道糸に影響を及ぼします。
 
 
 水面付近にある道糸は風の影響を受けます。
 強い風は仕掛けを押し戻すほどの力となって仕掛けの進行を妨げますが、風の向きによっては強い味方となってくれることもあります。

 潮流
 磯をかすめる本来の流れは必ずしも一直線ではありません。
 ジグザグに蛇行したり、他の流れとぶつかって渦を巻いたりしています。

 これらの様々な影響によってラインは一直線ではなく、図のように湾曲したり蛇行したりして流れていきます。
 ラインに大幅なたるみが出てくるとアタリが竿先へと伝わりにくくなってきます。
 そこでラインを這わせなおしたり、少しテンションをかけたりしてたるみを修正していきます。

 これらの自然条件は仕掛けを流す妨害の役割を果たすだけではありません。
 例えば波の強い日に大きくサラシが伸びているときは、払い出しに乗せて一気に仕掛けを沖に持って行くことができます。
 サラシの白い泡の層が餌取りから刺し餌を守ってくれる役目をしたり、撒き餌が届かないような場所まで撒き餌を運んでくれたりと。
 これらの自然環境を上手に利用すれば効果的な役割を果たしてくれることもあるのです。


 

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