魚の好む場所

 海に住む魚が好む場所を解説します。
 チヌやハネ、メバル、アイナメ、ガシラなど私たちの生活圏に近い沿岸に住む魚に焦点を当てていきます。
 これらの魚は海の中でも比較的浅い場所で、潮の流れの緩やかなところを住み家としています。
 本来は完全な砂地などではなく身を隠すことが出来る岩礁帯に好んで住み着くようですが、人間が海辺を堤防などで護岸を変化させてきたため、岩礁帯の代わりに堤防付近に住むようになりました。


 特に、チヌ、ハネ、ボラという魚たちは川が海へ真水が流れ込む、塩分濃度が薄くなっている「汽水域」を好んで住んでいます。
 この汽水域は陸地から川が運んでくる豊富な栄養分のため、微生物が育ちやすい環境で、海のいろんな生物や小魚達の生育環境でもあります。
 チヌやハネにとってもエサを捕食しやすい環境であることは言うまでもありません。

 *大阪湾は東京湾や伊勢湾と異なり、西に瀬戸内海、南に紀伊水道と2方向に入り口が開けているため、公害で汚染された海水が両者より早く戻ることが出来たようです。
 現在でも「茅渟(ちぬ)の海」と呼ばれるほど魚影の濃い湾です。


 チヌ、ハネの実績場というと決まって近くに川の流れ込みがあるはずです。
 ポイント選びには必ず河川のあることを判断の基準としてください。


 次に、水温。
 魚は変温動物です。
 チヌもハネも水温の適応範囲は広い魚と言われています。
 しかし、急激な温度変化は嫌うらしく、冬場の低水温だけでなく夏場の高水温時期にも沿岸に寄らなくなります。
 
 冬の季節風が吹き荒れ、海が荒れて撹拌されると急激に水温が低下するため、魚たちは捕食をやめて水温の安定している深場へ逃げたり、水温が安定して体が温度に慣れるまで深みでじっとしているらしいです。

 冬場の釣りに関しては釣行前の天候や海の状態により釣果が得られるかどうか変わってきます。
 例え当日が好天でも前日に荒れていたり、冷たい雨が降っていたりすると全く魚の気配すら無いという状況に陥ってしまいます。
 
 逆に夏場は海が荒れて撹拌されたときがチャンスで、台風の通過前後は好釣果に恵まれることが多々あるのです。

 また、台風が近づくと海が荒れる前に魚はしばらくの間沿岸でエサを補食できなくなるので荒食いをすることがあります。
 水温とは関係ありませんが良い釣果に恵まれる目安になります。


 酸素濃度。
 魚は好水温の場所とともに、酸素濃度が豊富な場所を好みます。
 酸素が豊富と言うことは微生物が住みやすく、それに伴って海の様々な生物、チヌやハネのエサが豊富な場所でもあるのです。

 酸素濃度が豊富な場所とはどこか。
 波が沿岸にぶつかって白く泡立つような場所。
 やはり、堤防と言うことになります。
 特にスリットケーソンやテトラ帯は複雑な形状から波が砕けやすく、豊富な酸素が海中へ溶け込む最適の場所なのです。

 完全に堤防に囲まれて波の立たないような場所(内湾など)よりも、外海に面した沖向きで魚が多く釣れるのはこういう理由があります。



*秘伝 -潮目-
海には流れがあります。
 流れの方向、速さは一定ではなく毎日数時間ごとに絶えず変化しています。

 同じ湾内の海でも場所によって流れの強さ、速さ、方向の異なった流れが幾つも存在しており、複雑に絡み合っています。




 この写真は平成21年4月29日の風の無い日に撮影した大阪湾です。
 黄砂が空一面を覆っていることから風がほとんど無いというのがおわかりいただけると思います。
 海を見ると幾つもの筋状の模様がはっきりと出ています。
 なぜ、同じ海なのに流れの強さが違うのかは私にはわかりませんが、それぞれの流れの強さや方向が異なるためにこういった模様になります。
  この海の模様のつなぎ目の筋=流れと流れのぶつかるラインのことを潮目と呼んでいます。

 この潮目は小さな渦が幾つも巻いていたり、海底へと沈み込む流れがあったり、わき上がっている物があったりで、複雑な水流が出来ており、潮目付近はお互いが引きつけられる流れとなっています。

 


 防波堤付近に出来た潮目です。
 沖の流れと、堤防際にぶつかって反転してきた流れが潮目となり、一筋の線となって表れています。



 潮目にもいろんなタイプがあり、大きな流れがぶつかり合い表層から海底まで壁が出来ている物、表層だけが風に押されて堤防などにぶつかって反転してきた流れと本流とがぶつかっている物、海中で異なる流れがぶつかり合ってわき上がっている物などなどです。

 流れがこの潮目に向かって流れ込むため、この周辺はプランクトンやエサになる小魚が集まりやすく、従って大きな魚も補食のために潮目に近寄って来ることが多いのです。
 グレのフカセ釣りなどではこの潮目が、釣果を伸ばす重要なポイントとしています。


 私たちが上空から見ているだけでは、潮目がどんな流れなのかよくわかりませんし、風が強い日や波の荒い日には潮目がどれなのか全くわからないことが度々あります。

 では、どうやって探し出すかと言うと、潮が沖に向かって左右どちらかに流れている場合、近くに潮目が出来ていれば、必ず潮目のある方向へと引かれて流れていきます。
 堤防の近くにある場合は堤防の方へ寄ってきますし、少し沖にある場合は沖へと進みながら流れていきます。
 そして潮目にぶつかれば、潮目に沿って流れていきます。
 だいたいの潮筋がわかれば、次の仕掛け投入からダイレクトに潮目に向かって撒き餌と仕掛けを放り込めばいいのです。
 

 潮目は1日中同じ場所にあるわけではありません。
 陸から離れたり近づいたり、時には蛇行したり刻々と変化しています。
 潮の変化にあわせて釣りをしていきます。


 チヌ、ハネ釣りの場合はグレなどと異なり潮目はあまり重要視されませんが、短時間で魚のいる場所=ポイントを知るための目安としてください。



 

 

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